内容(Amazonより)
“オランダの光”−それはフェルメールやレンブラントら17世紀オランダ絵画の巨匠たちが遺した傑作の源となった、独特の陰影を持つ同地の自然光のことと言われてきた。しかし現代美術家ヨーゼフ・ボイスは1950年代に行われたエイセル湖の干拓が地形に変化を及ぼしたため、その光が失われてしまったと指摘。果たして“オランダの光”は、本当に失われてしまったのだろうか?そして“オランダの光”とは、本当に実在するのだろうか?かくて触れる事のできない“光”を追い求めて、想像を超えるオデッセイが始まった−
「“オランダの光”は失われてしまったのか?」というテーマとともに、さまざまな角度から検証を進めていく。
17世紀の絵画の見地から、その国の自然、街並みなどの見地から、また気象学的な見地から。
全体的には、干拓による地形の変化により、当時の光は失われたのではないか?という意見が大勢を占めていたが、結局、明確な結論は出なかったようだ。
その中で、気に入ったエピソードをふたつほど・・・
ひとつは、各国の画家たちの絵画に対しての取り組み方、描写の仕方について。
オランダ・・・窓から外を眺めるような感覚で絵を描く。「写実」に徹する。
イタリア・・・写実に「物語」が加わる。
ドイツ・・・写実に「歴史」が加わる。
スペイン・・・写実に「独特な情緒」が加わる。
その国々の歴史的背景、文化的背景が、確実に絵画にも影響を及ぼしているということに面白みを感じた。
もうひとつは、映画の中で各国の長距離トラックのドライバーが各国の光の違いについてインタビューされているシーンの中のひとりのコメント。
「デンマークとオランダの光は似ている。両方とも平坦な土地だから」
これは僕が映画を見始めてすぐに感じたことと一緒だったから、とても記憶に残っている。オランダには3日しか滞在したことがないので、現地での“オランダの光”についての印象は薄れてしまったが、デンマークの空のことは今でもよく覚えている。映画で映し出された空の色、光はどことなくデンマークのものと似ている感じがしていた。
(オランダ旅行記は
こちら)
きっと、平坦な土地であることや、水が豊富ということが、お互いに共通しているからだろう。
そういうことを回想しているとき、デンマークでの日々を思い出して、少し幸せな気分になりました。
写真はアムステルダム郊外の“ザーンセ・スカンス”という場所で僕が撮影した“オランダの光”。
この場所に着いたときは青空だったのに、わずか30分後にはどんよりとした空。
天気がすぐ変わってデンマークみたい、と感じたことを覚えています。
オランダの光